※この記事は、不動産業界で20年以上現場に立ち続けている現役宅建士が書いています。
「親と共有名義の不動産を売りたいけど、兄弟が反対している」「離婚した元配偶者と共有名義のままで売れない」。共有名義の不動産売却は、単独名義より複雑です。選択肢と注意点をお伝えします。
共有名義とは何か
共有名義とは、一つの不動産を複数の人が共同で所有している状態です。それぞれの所有割合を「共有持分」といいます。
共有名義になる主なケースは以下の通りです。
- 夫婦でペアローンを組んで購入した
- 親から不動産を複数の兄弟で相続した
- 離婚時に名義変更をしなかった
- 親子で共同購入した
共有名義の不動産を売却するには全員の同意が必要
共有名義の不動産を全体として売却するには、原則として全ての共有者の同意が必要です。
一人でも反対する共有者がいる場合、その不動産全体を売却することはできません。これが共有名義の最大の問題点です。
共有者が反対した場合の選択肢
① 話し合いを続ける
最初に取るべき行動です。反対している共有者がなぜ反対しているのかを理解することが重要です。価格に不満がある、売却のタイミングが合わない、感情的な理由があるなど、理由によって解決策が変わります。
感情的になりやすい場合は、弁護士や不動産の専門家を間に入れることで話し合いがスムーズになることがあります。
② 自分の持分だけを売却する
共有持分は他の共有者の同意なく売却できます。ただし以下の点に注意してください。
持分だけの売却は、一般の買主には売れにくいのが現実です。買い手は主に共有持分を専門に扱う業者になります。価格は市場価格の50〜70%程度になることがほとんどです。
また、業者が持分を取得すると、その業者が他の共有者に対して共有物分割請求を起こすケースがあります。結果的に全体が競売になる可能性もあります。
③ 他の共有者の持分を買い取る
自分が他の共有者の持分を買い取ることで、単独名義にする方法です。単独名義になれば自由に売却できます。資金が必要になりますが、最もスムーズに解決できる方法のひとつです。
④ 共有物分割請求
話し合いで解決できない場合、裁判所に共有物分割を求めることができます。裁判所が分割方法を決定します。
分割の方法には現物分割・換価分割・代償分割があります。不動産の場合は換価分割(売却して代金を分ける)になることが多いです。時間と費用がかかりますが、最終的な解決手段として有効です。
相続で共有名義になった場合の特有の問題
相続で共有名義になった場合、共有者が多くなりやすいという問題があります。
例えば親が亡くなり兄弟3人で相続した場合、さらにその兄弟のひとりが亡くなるとその子供たちが共有者になります。世代を経るごとに共有者が増え、全員の同意を取ることが困難になっていきます。
相続で共有名義になった場合は、早めに単独名義または少数の共有者に整理することをお勧めします。
共有名義のまま売却活動を進める場合の注意点
全員が売却に同意した場合でも、以下の点に注意してください。
全員が売買契約書にサインする必要がある
共有者全員が売買契約書に署名・捺印する必要があります。遠方に住んでいる共有者がいる場合は、スケジュール調整が必要です。
売却益の分配方法を事前に決める
持分割合に応じて売却益を分配するのが原則ですが、事前に全員で合意しておくことでトラブルを防げます。
税金は各自が申告する
売却益に対する税金は、各共有者がそれぞれ確定申告します。
まとめ
共有名義の不動産売却は、全員の同意が必要なため単独名義より複雑です。反対する共有者がいる場合は、まず話し合いから始めてください。解決が難しい場合は弁護士や不動産の専門家に相談することをお勧めします。共有名義の問題は早めに動くほど解決しやすくなります。
