※この記事は、不動産業界で20年以上現場に立ち続けている現役宅建士が書いています。
離婚時に最も揉めやすい財産のひとつが不動産です。「家はどうなるの?」「ローンが残っている場合は?」という疑問に、不動産の専門家の立場からお答えします。ただし法律的な判断は必ず弁護士に相談してください。
財産分与とは何か
財産分与とは、婚姻中に夫婦で築いた財産を離婚時に分け合うことです。原則として2分の1ずつ分けます。
不動産は財産分与の対象になります。ただし以下の財産は対象外です。
- 結婚前から持っていた財産
- 婚姻中に相続または贈与で取得した財産
例えば、結婚前に購入した不動産や、親から相続した不動産は原則として財産分与の対象外です。
不動産の財産分与の選択肢
不動産の財産分与には主に3つの選択肢があります。
① 売却して現金を分ける
最もシンプルな方法です。不動産を売却して、売却益をふたりで分けます。現金化することで公平に分けやすいというメリットがあります。ただし売却には時間がかかること、市場状況によっては希望の価格で売れない可能性があることを理解した上で選択してください。
② どちらかが住み続ける(名義変更)
一方が不動産を取得し、もう一方に代償金を支払う方法です。例えば3,000万円の不動産であれば、住み続ける側がもう一方に1,500万円を支払う形です。住宅ローンが残っている場合は金融機関の承諾が必要になります。
③ 共有名義のまま維持する
離婚後も共有名義のまま維持する方法です。ただしこの方法は将来的なトラブルの元になりやすくお勧めしません。どちらかが再婚した場合・どちらかが亡くなった場合などに複雑な問題が生じます。
住宅ローンが残っている場合
住宅ローンが残っている場合は特に注意が必要です。
アンダーローンの場合
不動産の価値がローン残債を上回っている状態です。差額が財産分与の対象になります。
例:不動産の価値3,000万円-ローン残債1,000万円=2,000万円が財産分与の対象
オーバーローンの場合
ローン残債が不動産の価値を上回っている状態です。この場合、不動産の財産分与はゼロになるケースがあります。売却しても残債が残る場合は、残債をどう処理するかについて金融機関と協議が必要です。
名義と実際の支払い者が違う場合
よくあるケースとして、名義は夫だが実際のローン支払いは妻も負担していた、または名義は夫だが頭金は妻の貯金を使ったというケースがあります。
このような場合でも、実態に応じた財産分与が認められることがあります。弁護士に相談して適切な主張をしてください。
不動産の価値はいつの時点で評価するか
財産分与における不動産の評価は、原則として離婚時点の時価です。購入時の価格ではなく、現在の市場価値で評価されます。
だからこそ、前の記事でお伝えした通り、査定を受けて現在の価値を把握しておくことが重要です。
まとめ
離婚時の不動産は、売却・名義変更・共有維持の3つの選択肢があります。住宅ローンが残っている場合はさらに複雑になります。不動産の現在の価値を把握した上で、弁護士と相談しながら最善の選択をしてください。このサイトは不動産の知識を提供する場所ですが、法律的な判断は必ず専門家に委ねてください。
