両手仲介と片手仲介の違い。売主が知らないと損をする仕組み【現役宅建士が解説】

※この記事は、不動産業界で20年以上現場に立ち続けている現役宅建士が書いています。

「仲介手数料」という言葉は聞いたことがあっても、「両手仲介」「片手仲介」の違いを知っている売主はほとんどいません。実はこの違いが、売主の利益に直結しています。

仲介手数料の基本をおさえる

不動産売買では、売主と買主の間に不動産会社が入ります。その不動産会社への報酬が仲介手数料です。

法律で上限が決まっており、売買価格の3%+6万円(税別)が一般的です。3,000万円の物件なら約96万円になります。

両手仲介とは何か

※両手仲介:売主と買主、両方から仲介手数料を受け取ることから「両手」仲介と呼ばれます。

売主側と買主側、両方から手数料をもらう取引を「両手仲介」といいます。

一つの不動産会社が売主と買主の両方を担当する形です。この場合、不動産会社は売主からも買主からも手数料を受け取ります。3,000万円の物件なら、約96万円×2=約192万円が不動産会社の収入になります。

片手仲介とは何か

※片手仲介:売主か買主、片方からしか仲介手数料を受け取らないことから「片手」仲介と呼ばれます。

売主側の不動産会社と買主側の不動産会社が別々になる取引を「片手仲介」といいます。

それぞれの会社がそれぞれの依頼人から手数料を受け取ります。一社あたりの収入は両手仲介の半分になります。

なぜ両手仲介が問題になるのか

両手仲介そのものは違法ではありません。しかし構造上、利益相反が起きやすいという問題があります。

※利益相反:互いの利益が矛盾して両立しない関係のこと。高く売りたい売主と、安く買いたい買主は、まさに利益相反の関係にあります。

売主の立場で考えてみてください。売主は「できるだけ高く売りたい」と思っています。一方、買主は「できるだけ安く買いたい」と思っています。この相反する二者の間に立って、どちらの利益も守ることは構造上難しいのです。

さらに問題なのが「囲い込み」です。

囲い込みとは何か

両手仲介を狙った不動産会社が、他社からの買主を意図的にブロックする行為を「囲い込み」といいます。

具体的には、他の不動産会社から「この物件を紹介したい買主がいる」と連絡が来ても「すでに商談中です」と嘘をついて断るケースがあります。自社で買主を見つけた方が両手手数料が入るからです。

売主にとっては、本来出会えたはずの買主と出会えなくなる、つまり売却のチャンスが減るということを意味します。

売主が自分を守るためにできること

複数社に依頼する(一般媒介)
一社に独占させず複数社に依頼することで、囲い込みのリスクを下げられます。ただし管理が煩雑になるデメリットもあります。

片手仲介を原則とする会社を選ぶ
最初から片手仲介を方針としている会社に依頼する方法です。売主の利益を優先する構造が担保されています。

レインズの登録状況を確認する
売却を依頼したら、不動産流通機構(レインズ)に物件が登録されているか確認しましょう。登録されていれば他社も買主を探せる状態になっています。

まとめ

両手仲介・片手仲介の違いを知ることは、売主が自分の利益を守るための基本知識です。不動産会社を選ぶ際は「どちらの立場で動いてくれるのか」を必ず確認してください。


この記事を書いた人:不動産業界で20年以上、今も現場に立ち続けている現役宅建士。宅建士(宅地建物取引士)は国家資格であり、重要事項の説明・契約書への記名押印は宅建士にしかできません。車の運転に免許が必要なように、不動産取引には宅建士が必要です。担当者が宅建士かどうかを、必ず確認してください。

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