これから依頼しようとしている不動産会社に、行政処分を受けた過去があるかどうか。会社名が分かれば、誰でも無料で調べられます。登録も、費用も、専門知識も要りません。かかる時間は3分ほどです。
使うのは2つです。国土交通省のネガティブ情報等検索サイトと、各都道府県が公表している行政処分の一覧。この2つは載っている範囲が違うので、両方を見る必要があります。
ただ、2か所を見比べるのは手間です。そこで国土交通省と全国47都道府県の公表データを1か所に集めて、会社名を入れるだけで調べられるようにしました。手順を読む前に結果を知りたい方は、こちらをお使いください。
不動産会社の行政処分を会社名で検索する
国土交通省+全国47都道府県/518件・504社(2026年9月時点)/公表元の原文へ直接飛べます
この記事では、実際の検索手順を画面の順に追います。そのうえで、処分歴が出てきたとき、そして出てこなかったときに、それをどう受け止めるかまでを説明します。
国交省ネガティブ情報等検索サイトとは?
国土交通省が運営する「ネガティブ情報等検索サイト」は、国土交通大臣、各地方整備局長、北海道開発局長及び沖縄総合事務局長並びに都道府県知事が宅地建物取引業者に対して行った行政処分等を定期的にとりまとめたもので、最近5年分の行政処分等情報を公開しています。
つまり、過去5年間に行政処分を受けた不動産業者を、業者名を入力するだけで無料で調べられる、国が運営する公式サービスです。
調べられる処分の種類
公開対象の行政処分等情報は、免許取消、業務停止、指示の3種類です。
①指示処分
3種類のうちでは最も軽い処分で、業務のやり方を改めるよう求めるものです。宅地建物取引業法は、法令に違反したときのほか、取引の関係者に損害を与えたとき(またはそのおそれが大きいとき)などにも指示ができると定めています。いずれにしても、行政が調べたうえで出すものです。
②業務停止処分
一定期間、業務を停止させる処分です。悪質な違反があった場合に下されます。
③免許取消処分
最も重い処分で、宅建業の免許自体が取り消されます。処分の情報がいつまで見られるかは、法律ではなく公表している側の運用で決まります。国交省のサイトは最近5年分ですが、5年を過ぎた処分をいまも掲載している県もあります。
実際の検索手順
ステップ1:サイトにアクセスする
国土交通省ネガティブ情報等検索サイト(https://www.mlit.go.jp/nega-inf/)にアクセスします。
ステップ2:「宅地建物取引業者」を選ぶ
「不動産の売買・管理」の中にある「宅地建物取引業者」をクリックします。
ステップ3:検索条件を入力する
- 処分等年月日(年・月)
- 事業者名(部分一致で検索可能)
- 都道府県
- 処分の種類
事業者名は部分一致で検索できますが、万が一結果が表示されなかった場合には正式名称で入力してください。
ステップ4:結果を確認する
処分歴がある場合、処分年月日・免許番号・事業者名・本社住所・処分の種類・違反行為の概要が表示されます。
注意点①:国交省サイトに載っていない処分もある
国交省のサイト自体に「本サイトで情報を公開していない地方公共団体もあるため、その場合は各地方公共団体のWebサイトをご確認ください」と明記されています。
なぜ公開していない自治体があるのでしょうか。総務省の調査報告書によると、各地方公共団体が国交省サイトへの情報提供を義務付けられているわけではなく、対応が統一されていないのが実態です。
そのため、お住まいの都道府県の処分情報は、都道府県のサイトでも別途確認することをお勧めします。Googleで以下のように検索してください:
(都道府県名) 宅建業者 監督処分 一覧
例えば埼玉県では宅地建物取引業者の監督処分結果をホームページで公表しており、処分年月日・商号・代表者名・免許番号・処分内容・処分の理由を処分日から5年間掲載しています。都道府県によって対応が異なりますので、直接サイトを確認するか、各都道府県の宅建担当窓口に問い合わせてください。
実際に数えました。6つの道府県は「0件」です
当サイトで、国交省の検索サイトから宅地建物取引業者の処分情報を全件取得して数えました(対象期間2021年〜2026年、全273件/2026年9月7日時点)。処分を行った行政庁ごとに分けると、こうなります。
| 処分を行った行政庁 | 件数 |
|---|---|
| 東京都 | 97 |
| 兵庫県 | 60 |
| 群馬県 | 28 |
| 沖縄県 | 16 |
| 福岡県 | 11 |
| 北海道・宮城県・埼玉県・千葉県・神奈川県・大阪府 | 0 |
北海道、宮城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府。いずれも1件も出てきません。
これらの道府県で5年間まったく処分がなかった、ということは考えにくいことです。国交省のサイトに情報を提供していない、というのが実態です。
ここが、いちばん大事な点です。
「国交省のサイトで調べたけれど、何も出てこなかった」は、「処分歴がない」という意味ではありません。 お住まいの都道府県が、そもそも載せていない可能性があります。
また、国交省のこのサイトが公開しているのは最近5年分です。それより前の処分は、ここでは検索しても出てきません。ただし、いつまで公表を続けるかは公表元ごとに異なり、5年を過ぎた処分をいまも掲載している県もあります(この記事の冒頭で案内している検索ページには、2016年の処分まで含まれています)。
その後、47都道府県すべてを調べました
上の6道府県だけの話なのか、それとも広く起きていることなのか。確かめるため、47都道府県の公表ページを1つずつ開いて調べました(2026年9月時点)。
- 国土交通省に情報を出しているのは15都県だけでした。残りは自分のホームページにしか載せていません
- 国交省では0件だった大阪府は109件、北海道は31件、神奈川県は27件、埼玉県は26件が、県のページで公表されていました
- 全国を合わせると518件。国交省だけを見ていたときの約2倍です
- 一方で、県のページにも国交省にも記録が1件もない県が11県ありました(青森・岩手・秋田・山形・石川・山梨・島根・岡山・山口・徳島・愛媛)
「見つからない」と「存在しない」は違います。この2つを区別できないまま「該当なし」と受け取ると、判断を誤ります。
調べた結果の詳細は宅建業者の行政処分を全国47都道府県で調べたにまとめました。会社名で一度に調べたい場合は、行政処分の検索ページをお使いください。
都道府県が公表している処分情報の探し方
国交省の検索システムに載らない処分を確認するには、免許を出している都道府県の公表ページを直接見るのが確実です。各都道府県は、宅建業法に基づく行政処分を行うたびに、報道発表や公表ページで内容を公開しています。
探し方は検索一発
「都道府県名 宅建業者 行政処分」で検索してください。例えば「東京都 宅建業者 行政処分」「北海道 宅地建物取引業者 処分」のように入力すると、都庁・道庁・県庁の担当部署(住宅政策部門や建築指導課など)の公表ページが上位に出てきます。
東京都の場合は住宅政策本部が報道発表として公表しており、処分のたびに被処分者の商号・免許証番号・所在地・処分内容が一覧表の形で掲載されます。多くの道府県も同様の形式です。
都道府県の公表ページ(2026年9月24日に表示を確認)
検索する手間を省けるよう、実際にアクセスして表示を確認したページをまとめました。ページによっては、担当課のトップページや、処分の「基準」を示すページに移動します(自治体のサイトは改編が多いためです)。
このうち石川県・島根県・山口県・愛媛県の4県は、2026年9月時点で、リンク先に業者名の一覧が見当たりません(監督処分の「基準」を示すページです)。一覧が無いことは、処分がなかったことを意味しません。公表していない、別のページに置かれている、といった可能性があります。
ここに載っていない23県についても、2026年9月に公表ページを1つずつ確認しました。内訳は次のとおりです。
- 県が業者名の一覧やPDFで公表している10県……福島県・栃木県・群馬県・兵庫県・奈良県・香川県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県
- 県のページでは見つからず、国交省の検索サイトに記録がある6県……静岡県・三重県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県
- 県にも国交省にも記録が見当たらない7県……青森県・岩手県・秋田県・山形県・山梨県・岡山県・徳島県
最後の7県は「処分がなかった」という意味ではありません。公表していない、掲載期間が過ぎている、といった可能性があります。上の10県は、前の項目の検索方法で探せます。まとめて調べたい場合は、この記事の冒頭で案内している検索ページをお使いください。
リンク先が変わっていた場合は、県庁のサイト内検索で「宅地建物取引業 監督処分」と入れるのが確実です。
そもそも「処分されている」ことの重さ
日数の読み方を説明する前に、ひとつ強調しておきたいことがあります。行政処分は、疑いや苦情だけで下されるものではありません。行政が調査を行い、業務停止のような重い処分では聴聞(弁明の機会)という法律上の手続きを経て、宅建業法違反の事実が認定されて初めて下されるものです。
つまり、公表一覧に名前が載っているということは、「悪い噂がある」という次元の話ではなく、行政が違反の事実を認定した、ということです。
不動産会社が扱っているのは、衣食住の「住」——人生で最も大きな資産と生活の基盤です。それを預かる立場で法令違反が認定されているのは、軽く見てよい状態ではありません。「停止期間が短いから大したことはない」と読むのではなく、処分歴がある時点で、その会社に大切な取引を任せるかどうかは慎重に考えるべきだ、というのが実務者としての率直な意見です。
処分は「氷山の一角」であることが多い
つまり、処分として表に出た1件は、一度きりの偶発的なミスというより、日常の業務姿勢が表面化したケースが多い、というのが率直な感覚です。大きな不祥事が明るみに出た企業では、発覚のずっと前から現場に兆候があったと後から報じられることが少なくありません。行政処分は、その「煙」が公的な形で確認された瞬間だと考えてください。
従業員の口コミもあわせて確認する
もうひとつ、実務側から見た現実をお伝えします。行政処分は、行政に発覚し、証拠をもって立証できた違反に対して下されるものです。日常の営業活動の中の問題行為が、すべて行政の目に届くわけではありません。
会社の内情を映すという意味では、顧客向けの口コミより、そこで働く従業員・元従業員の声のほうが参考になることがあります。「社名+転職 口コミ」「社名+評判 従業員」などで検索すると、働く側から見たその会社の実態が垣間見えます。
ノルマの厳しさ、契約の取り方、顧客への姿勢——中で働く人の不満には、そのまま顧客への対応品質につながる情報が含まれています。処分歴の確認とあわせて見ておくと、判断の材料が増えます。
ただし、転職サイトの口コミには、そこ特有の偏りがあります。書き込むのは辞めた人が中心で、不満が動機になりやすい。在職中の人は書きにくく、満足している人はわざわざ書きません。投稿の時期が古く、すでに体制が変わっている可能性もあります。
だから、個々の不満をそのまま真に受けるのではなく、同じ指摘が複数の投稿に繰り返し出てくるかを見てください。とくに「契約の取り方」「顧客への説明」に関する記述が重なっているなら、それは営業の現場でも起きていると考えられます。逆に、給与や人間関係の話だけであれば、顧客としての判断材料にはなりません。
なお、こちらは従業員側から見た口コミの話です。Googleマップなどに集まる顧客側の口コミは、読み方も偏り方も違います。そちらについては不動産会社の口コミの読み方で詳しく解説しています。
公表内容の見方
公表資料には「宅地建物取引業務の全部停止○日間及び指示」といった処分内容が記載されています。読み方のポイントは次の通りです。
- 停止日数:処分の重さを比較する目安にはなりますが、「短いから軽微」と読むのは間違いです。まず前提として、全国に十数万ある宅建業者のうち、業務停止処分を受ける会社は年間でもごく一部にすぎません。日々の営業で多少の行き違いがあっても、業務停止まで至ることは通常ありません。つまり、日数の長短を問わず、業務停止の一覧に載っている時点で、その会社は業界の標準から明らかに外れた行為をした、ということです。日数は違反の内容に加えて過去の処分歴や情状も踏まえて決まるため、「7日だから大丈夫」という読み方は成り立ちません。
- 「及び指示」:業務停止とあわせて指示処分が付いているのは、「一定期間営業を止めれば済む」状態ではなく、業務のやり方そのものに是正すべき問題があると行政が判断したことを意味します。止めるだけでは足りず、直せと命じられている——処分の中身としては、停止単独より一段踏み込んだ状態です。
- 「都内全域における」等の限定:他県の免許業者が東京都内での違反で処分された場合など、処分の効力範囲が限定されていることがあります。ここで注意したいのは、範囲が限定されていても違反の認定自体は変わらないという点です。「本拠地では営業できているから問題ない会社」という意味ではありません。
なお、処分の詳細(何をしたのか)は、公表ページに添付された別紙PDFに記載されています。社名だけでなく、必ず処分理由まで読んでください。取引の安全に直結する違反なのか、手続き上の不備なのかで、意味合いが大きく変わります。
公表には期限がある
都道府県の公表ページは、一定期間が過ぎると掲載が終了することがあります。「検索しても出てこない=処分歴がない」とは限らない点は、国交省のシステムと同じです。だからこそ、複数の方法を組み合わせて確認することが大切です。
注意点②:ネット検索も必ずセットで行う
行政処分歴がなくても、問題のある業者は存在します。特に注意してほしいのが代表者が変わって再スタートするケースです。問題を起こした業者の代表者が会社を一度畳み、別の会社名・別の代表者名で新たに免許を取得するケースがあります。新しい会社名では処分歴が出てこないため、国交省サイトだけでは見抜けません。
そのため、以下のキーワードでネット検索も必ず行ってください:
- (会社名) 詐欺
- (会社名) トラブル
- (会社名) 事件
- (代表者名) 不動産
- (代表者名) 詐欺
ニュース記事や消費者センターへの苦情、SNSの投稿なども参考になります。GoogleだけでなくXでの検索も有効です。
注意点③:処分歴だけで判断しない
行政処分情報だけを頼りにすることは危険です。行政処分履歴はなくても顧客とのトラブルが多い不動産会社もありますし、逆に、行政処分歴があっても、その後反省して業務改善がなされた会社も存在するからです。処分歴はあくまで判断材料の一つとして活用してください。
チラシやDMで来た会社こそ、調べる
ポストに入っていた「購入希望のお客様がいます」というチラシ。その言葉が何を意味するかを知ったうえで、ここで書いた方法で処分歴を確かめてください。自分で探して選んだ会社と違い、向こうから来た会社は、こちらが何も確かめていない状態で話が始まります。だから、先に調べておく意味があります。
まとめ:問い合わせ前の確認チェックリスト
- ✅ 国交省ネガティブ情報検索サイトで処分歴を確認
- ✅ お住まいの都道府県サイトでも処分歴を確認
- ✅ 会社名・代表者名でネット検索(詐欺・トラブル・事件)
- ✅ 免許番号の()内の数字で業歴を確認
- ✅ 処分歴がなくても対応・説明力で総合判断
問い合わせ前の数分のチェックが、大きなトラブルを防ぐことにつながります。ぜひ活用してください。
では、実際にどんな処分が出ているのか
調べ方が分かっても、「業務停止7日間」という表示が何を意味するのかまでは分かりません。何をして処分されたのか、その処分は重いのか軽いのか——判断するには、全体の傾向を知る必要があります。
そこで、公表されている処分を実際に集計しました。2022年から2025年までの4年間、214件です。最も多い違反は重要事項説明に関するもので、次いで媒介契約に関するもの。そして免許取消で多い理由は、重要事項説明のような取引中の違反ではなく、事務所の所在が分からなくなった、役員が欠格事由に該当した、といったものでした。売主にとっては、取引の途中で相手がいなくなるという、最も避けたい事態です。
裏返すと、処分がいちばん多く出ているのは「説明」のところだということです。だからこそ、重要事項説明には売主も同席したほうがいいと考えています。自分の物件について何がどう説明されているかは、売主にしか確かめられません。しかも重要事項説明書の様式は会社ごとに違い、説明の仕方にも人の癖が出ます。同じ書面でも、聞いた側に残るものが変わります。もめごとの多くは、誰かが嘘をついたからではなく、受け取り方がずれたまま進んだことから起きています。売買契約書の読み合わせも同じです。宅建士に説明が義務づけられているのは重要事項説明までで、契約書の読み合わせは義務ではありません。だからこそ、その場にいて自分の耳で聞いておく意味があります。
詳しくは宅建業者の行政処分を全国47都道府県で調べた。最も多い違反と、処分歴の正しい読み方にまとめています。地域による件数の差が何を意味するのかも、あわせて書いています。
また、処分事例から逆算して売主・買主が自分で確認できることを整理したのが処分された会社は、何をしていたのか。売主が自分で確認できる5つの書面です。名刺の情報を鵜呑みにせず、公的なデータベースで照合する方法も書いています。

